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「立つ」を観察してみる



学生時代、彫刻を学ぶ時に何度も言われてきたのが、



「どのように立っているのか、観察しなさい」



でした。



「立つ」って言われてもなあ〜


みんな普通に立ってるし。。。


そんな当たり前のこと、今さらどう観察すればいいのかな。。


頭で考えれば考えるほど、次第に眠たくなってきます。




美術を専攻していると、必ずと言っていいほど、


「人」を題材として扱います。



人物を描いたり、デッサンしたり、粘土で造ったりを、

モデルとなる人物を見て、表現、制作していきます。



本来は職業モデルさんに依頼するのが理想なのですが、


当時はモデルを雇えるほど、経済的に豊かなケースはあまりありません。


後輩に頼んだり、仲間を募って、交代でモデルをしていくのを、

学生時代によくやっていました。



私も過去に、先輩から人物デッサンのモデルを頼まれたことがあります。


彫刻科での人物デッサンは、立ちポーズをお願いされることが多く、


実は、あまり嬉しくないというか、、、げんなりします。



例えば、10分間モデル台で静止した状態で立ち続け、終わると5分間の休憩。


そのサイクルを1時間以上にわたり続けます。


その上、立つ時の重心をあらかじめ決めて立たなければならず、

左右両方同じバランスで重心を取れれば、まだ楽なのですが、

(↑いわゆる、仁王立ち、というやつです)


左右どちらかに重心を置いて、立ちポーズを行わなければならない時は、


それはそれは、とても長く感じる10分間となります。


人は立つ時、前後左右重心のバランスを保っているから立ち続けられるのであって、


その重心が固定された状態で立ち続けることは、かなり大変で、忍耐が伴います。



私はこの事を、モデルをやってみるまでは知りませんでした。




ある時、それを経験した甲斐があってか。


人物デッサンする時や、粘土で人物を造る時に、

この人物はどこに重心を置いて立っているんだろう、という視点で

対象を見るようになりました。


すると、大地に根を下ろし生える樹木のような、

揺るぎない立ち姿に見えたり。


または、細くて、軽い棒切れみたいなものを立たせようと試みた時、

自立できた瞬間に見る、

地面から一本筋が通ったように、軸が定まり立ち上がる姿。



地球の重力を受けながら、身体パーツの構成や構造を持ってどうバランスをとり

、どこに軸を定めているのかという視点を持つようになります。



それを意識しながら表現することは、とても楽しく、おもしろく感じるようになりました。




以前、こども達と「人物速描き大会!」と名付けた、

クロッキーを行ったことがあります。

(↑クロッキーとは、短時間で対象を素早く描写することです)